床固いなあ…
2、3度目が覚め、浅い睡眠をひたすら繰り返して過ごしていた。
ようやく眠りにつき除雪機の音で目が覚める。
うーん。あまり寝れなかったな……
旅の初日はいつもこんな感じ。なれるまで少し時間が掛かるのだ。
斜め前で寝ていた、としきさんはゴソゴソと物音をたてながら出発準備を進めていた。
自分も目を覚ますために無理やり起きて寝袋を片付ける。
外は明るくなり、晴れ間が見える。


7時半
道の駅のトイレも人の出入りが増えてきた為、そろそろ出発することにするか!
としきさんと「じゃあ!また宗谷岬で!」と誓いの握手を交わしてから、私はペダルに力を踏み込んだ。
今日の目的地は音威子府。
出発して15分位は晴天だったが、直ぐに雪へ変わる。
視界が150m位へ。
危険を感じたので、後ろから来た除雪車の後ろにくっついて進む。
除雪ありがとうございます!

士別のセブンに入り休憩。
おっちゃんに「気をつけて行けよ!」とエールを貰って気合いが入った。
人生初の士別は豪雪。町の風景はなんだか留萌に似ている感じがする。
国道は除雪車とトラックと乗用車で賑わっていたので除雪されていない歩道を進むことにした。
除雪されていないと全く進まない…
「こういうときファットバイク辺りなら最高のパフォーマンスができるんだろうな~」なんて思いながらひたすらペダルを回した。
街中を抜けて辺りが畑のポイントに入る。
辺りに障害物がない為、雪が真横に吹き荒れる。
視界が100m位まで制限される。
普通ならヤバいと感じ足を止めるべきだと判断する。
私も「ヤバい」とは思った。
しかし足は止めなかった。
今なら「気は確か?」と心配するが、このクソ荒れた天気を地味に楽しんでいたのだ。
その現れとしてクソ吹雪の農道で記念撮影をしている。
アホとしか言えないな…
名寄に入る手前に剣淵で出会ったヒッチハイカーに先を抜かされる。
「車って速いですね」
当然の事をTwitterで呟き道の駅まで頑張った。

名寄道の駅に到着するとヒッチハイカーとそれを乗せてくれた優しいドライバーさんが出迎えてくれた。
この時期にヒッチハイカーを乗せてくれる方はどんだけ心が広いんだ?
と思っていたが
目的地が同じ最北端と聞いたとき「あ、この人もこっち側の人間なんだな」と理解した。
(ドライバーさん!大福ありがとうございました!!)
時刻は11時
ここまで来るのに3時間かかった…(約25km)
ここから名寄市街地までは今回の旅一番苦戦した。
士別よりスムーズに進んだが、車の通りが多い+歩道が無いため必然的に車道を通行しなければならなかった。
ドライバーの皆さんごめんなさいいいい!!
12時半にjr名寄駅到着

名寄ではとある方とお会いする約束をしていた。
その方は以前日本を「わらしべ長者旅」をした方。以前からTwitterで見つけて面白いとチェックしていた。
予想通りとてもユニークな考えをする方で沢山の経験をお話してくれて勉強になりました。ありがとうございました!!

その方とラーメンを食べて2時過ぎに再出発。

名寄抜けるため国道に出る。
すると車の通りが一気に無くなった。
バイパスがあることで下道を通る車はほとんど無くなったのだ。
ここからは速度がしっかりと出せるようになった。

やたらとでかい道で除雪もされていて最高のコンディション。


しかし、美深市街地に入ったところで日が沈んでしまった。

今日は音威子府まで行きたかったが、諦めることにする。
美深温泉の欲望に負けて目的地変更。
7時頃に美深温泉に到着。

温泉に入って閉館の9時までストーブの前でぬくぬくしていた。

外に出ると雪が止み満点の星空。
ああ…最高だぜ……
夏とは違い星空がすんで見えた気がした。
道の駅にテントを張ろうとして戻ると除雪最中で除雪機2台が忙しそうにしていた。
気が狂ったのはここからである。
「今日の目的地は音威子府だろ?」
頭に過る
いやいやいや…これから20km漕ぐのは頭おかしいって!
壊れた自分を説得する為に音威子府から来たドライバーに、この先の路面状況と天候と交通量を聞く。
1台目の親子に聞くと
路面状況は圧雪アイスバーン
天候は晴れ
交通量はほとんどない
親子のお父さん行くべきか聞くと
「行かない方がいいけど行けなくない」
迷いながら15分後
2台目は軽トラのおじさん
同じことを聞くと
アイスバーン
晴れ
車が巻き上げる雪で時々前が見えなくなるぐらいだ。
行けるかどうかを聞くと。
「行けるんじゃないか?」
…………いっちゃうか
時刻は21時半
フロントライト4つをハイビームに。
リアライトも全開
反射ベストも光らせる。
100m先からでも良くわかるようにし、今自分ができる最大限の安全策を確保する。
20kmと言うと夏場なら一時間かからない距離交通量は15分に車一台が通るか通らないか位。
さて、頑張るか。
気温-7℃の真夜中限界ライドスタート
外灯が1つもなく、音威子府の町の光だけが空を照らしている。
普通に回りが真っ暗で怖い。
車とか動物とかも勿論怖いが、このとき一番怖かったのはお化けである。
(いやーお化け嫌いはいつになってもなおりませんねー)
真っ暗が嫌いな私はラジオの音量をマックスにして怖さを紛らわしながら進んだ。
(H! H! HBC! ラ! ジ! オ!)
しかしこういった何もない所だと、時々現れる建物には自然と目が吸い込まれる。
バス停廃墟頭がないサイロ民家電柱へんなモニュメントボロボロな看板揺れる木々
等々……
もう一度行けと言われても絶対行かないわ
一番嫌だったのは、音威子府に入ってから少し先にある綺麗にライトアップされたトーテムポール。
目を合わせて固まってしまった。
背筋が凍った。
うん。。。最悪。
無心にこぎ続け、二時間後音威子府到着。


音威子府最初の第一村人はセコマの眠そうなお兄さん。
時給が自分のアルバイトより高かったのはちょっとショック。

↑JR音威子府
道の駅に到着すると既にテントが1張りある。
なんか安心。
最速でテントを建てノルマクリア。
名寄のラーメン屋で頂いた凍ったたこ焼を暖め直して優勝。
なまら疲れました。
こんな感じで無事音威子府にたどり着き今日は終了!!